6月27日(日) 10:10~

歯ブラシ摩耗によるバルクフィルコンポジットレジンの色調変化

寺中 文子1),神谷 直孝1),藤田(中島)光1),谷本 安浩2),平山 聡司1)

1) 日本大学松戸歯学部保存修復学講座
2) 日本大学松戸歯学部生体材料学講座

A study on the color change of bulk-fill resin composite by toothbrush abrasion
Teranaka Ayako1), Kamiya Naotaka1), Fujita-Nakajima Kou1), Tanimoto Yasuhiro2), Hirayama Satoshi1)
1) Department of Operative Dentistry, Nihon University School of Dentistry at Matsudo
2) Department of Dental Biomaterials, Nihon University School of Dentistry at Matsudo

Ⅰ.目的

歯ブラシ摩耗前後のフロアブルタイプバルクフィルコンポジットレジンを紅茶抽出液に8週間浸漬し、その表面の色調変化を検討するため色差(⊿E )と表面粗さの測定および走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行った。

Ⅱ.材料および方法

試供材料として、Bulk Base Hard Low Flow(BHL、サンメディカル)、Beautifil Bulk Flowable(BBF、松風)、Gracefil BulkFlo(GBF、ジーシー)を用いた。実験試料の作製は、金属製モールド(20×15×2 mm)にレジンを塡入しガラス板で圧接後、光照射器(G-Light Prima、ジーシー)で40秒間光照射した。これを耐水研磨紙#3,000まで順次研磨し、歯ブラシ摩耗群と未摩耗群を各々6個作製した。歯ブラシ摩耗試験(垂直荷重200 g、繰り返し回数20,000回)は、プロスペック歯ブラシ(ジーシー)と歯磨剤クリニカ(ライオン)を使用した。紅茶抽出液を入れたガラス容器に試料を静置し、37℃で8週間浸漬し、染色した。測色は1週毎に歯科用測色計(ShadeEye NCC,松風)を用いて1試料につき3箇所測定し、浸漬前後の色差(⊿E )を算出した。歯ブラシ摩耗前後の表面粗さは、非接触式測定機(VR-3050、キーエンス)を用いて測定し、その算術平均高さ(Sa)を求めた。さらに、歯ブラシ摩耗前後の試料表面のSEM観察(×1500)を行った。

Ⅲ.結果と考察

色差(⊿E)の経時的変化は、GBFと BHLでは摩耗群・未摩耗群ともに有意差は認めず、同じ傾向を示した。GBFとBHLのベースモノマーは低吸水性のBis-MEPP やLPSモノマーが主成分であることから、着色性が低かったと考えられる。しかし、BBFでは浸漬8週後で両群間に有意差を認めた(p =0.036)。 これは、S-PRGフィラーの脱離が原因であると考えられた。表面粗さSaは全ての試料において摩耗群で増加していたが、GBFのみ未摩耗群と比べ有意差を認めた(p =0.023)。

Ⅳ.結論

1.BHLとGBFは、全浸漬期間を通じて摩耗群と未摩耗群間で色差(⊿E )に有意差はなかった。
2.BBFは、浸漬時間の延長に伴い、色差(⊿E )が未摩耗群と比較して摩耗群で増大した。

大会事務局

明海大学 保健医療学部 口腔保健学科 担当:金子 潤
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