8月24日(日) 10:00~10:50
VITA classical A1-D4® shade guideのCIEDE2000による検討
中山 友克,元吞 昭夫,山鹿 洋一,阪 秀樹
埼玉歯科技工士専門学校
Ⅰ.目的
VITA classical A1-D4® shade guide(以下、VITA shade guide)は、色彩学的概念として明度、彩度、色相という色の3属性に基づいて開発されたVITA SYSTEM 3D-MASTER®の上市後も、臨床で広く使用されている。VITA shade guideは色相によりA〜Dの4系統に分類され、数字で明度と彩度を表すが、系統間で数字の尺度が一致しておらず、各シェードガイド間の色のばらつきが見られる。
歯科領域では、CIE Lab表色系に基づく色差指標⊿Eが一般的に用いられており、従来のΔE76(CIE76)は計算が容易であった一方、視覚的感覚との乖離が問題視されていた。これに対し、⊿E00(CIEDE2000)は、①視覚特性に即した補正を加え、②歯科材料の透明性(T/P値)を含む極めて正確な色彩の評価が可能な均等色彩空間の分析を行う精緻なモデルとして期待され今後位置付けられている。従来の⊿E76は計算が容易だが視覚との乖離がある。一方、⊿E00(CIEDE2000)は視覚特性に即した補正を加えたより精緻なモデルとして位置付けられている。
本研究では、VITA shade guideを明度順に並べ、⊿E76と⊿E00の色差を比較・検討した。
Ⅱ.材料および方法
VITA shade guide(VITA Zahnfabrik)を分光光度計M307形カラーアナライザー(日立産業株式会社)にて波長380nm~780nmを10nm間隔で分光測色し、得られた測色値をVITA社の提供する明度順(B1-A1-C1-D2-B2-A2-D3-A3-C2-C3-D4-B3-C4-A3.5-B4-A4)に配列し、隣接するシェードタブの⊿E76と⊿E00を求め、それぞれ⊿L*(明度差)、⊿C*(彩度差)、⊿H°(色相差)との相関を求めた。
Ⅲ.結果と考察
⊿E76は平均3.12で全体的に大きな値を示し、色差を過大に評価する傾向がみられた。⊿E00は平均2.61で⊿E76より小さい値を示した。
⊿E76と⊿E00を⊿L*、⊿C*、⊿H°との相関を求めたところ、⊿E00、⊿E76ともに⊿L*との相関が非常に強く、色差の主成分が明度差であることが示唆される。一方で、⊿C*や⊿H°との相関は弱い。
⊿E76は単純なユークリッド距離であるため、色相や彩度方向への感度が過大または過小に評価される傾向があり、シェード間の色差が実際より大きく現れた可能性がある。一方、⊿E00はL、C、h°の各成分に補正が加わっており、知覚的に一致する近接色をより現実的に表現できるため、臨床的なシェードテイキングの評価指標として優位性が認められた。
Ⅳ.結論
VITA shade guide間の色差に関して⊿E00は⊿E76よりも人間の視覚特性に即した色空間を再現する能力に優れていることが示された。今後のシェードテイキングや色評価においては⊿E00の活用がより適切と考えられる。
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