6月27日(日) 14:30~15:20
「オムニクロマ」直接充填の新潮流
関野 雅人 先生(株式会社トクヤマデンタル)
これまでのコンポジットレジンを用いた直接充填修復においては、‘歯の色調に近いシェードを選択して、そのシェードに合うコンポジットレジン(CR)を充填する’ことを当然のこととして行ってきた。このため、「様々な患者の歯質の色調に合うように沢山のシェードのCRを用意する必要がある」、「マイナーシェードはいざ使用するときに使用期限が切れていた」或いは「中間シェードでどのCRを使用するか迷う」などといった色調のマッチングに対する煩雑さや課題があった。
上記のようなシェードに由来する課題を解消したいという想いから、新な思想で新規コンポジットレジン「オムニクロマ」を開発した。この材料は、CRである「オムニクロマ」自体が、充填する窩洞の色調に同化し自然な色調になり、‘シェードの概念がない’ことがコンセプトである。
通常着色には、顔料や染料を用いており、CRについても同様である。顔料による調色とは異なり、モルフォ蝶の美しい青色やCDの記録面の虹色は、光の波長以下の微細な溝や突起による光の干渉現象により発現する構造発色がある。
「オムニクロマ」は、顔料を含んでおらず、スマートクロマティックテクノロジーを採用し、この構造発色を応用して様々な歯に色調適合させる技術である。
「オムニクロマ」には、粒子径260nmのスープラナノ球状フィラー(オムニクロマフィラー)を採用している。このフィラーを高充填することにより赤色から黄色の構造色を発色する。この構造発色と歯質からの反射光が混色することにより、周囲の歯質の色調に同化した自然な色調が得られる。
また、スープラナノ球状フィラーは、トクヤマデンタルのエステライトシリーズで実績のある良好な研磨性、光沢持続性、耐摩耗性、低対合歯摩耗性を引き継いでおり、圧縮強度等の理工学物性も、エステライトΣクイックと同等以上であるため、日頃の先生方の臨床に安心してお使いいただける材料である。
【ご略歴】
1989年 3月 埼玉大学理学部化学科卒業
1991年 3月 埼玉大学大学院理学研究科化学専攻修了
1991年 4月 (株)徳山曹達(現(株)トクヤマ)つくば研究所入社
1994年 4月 東京工業大学無機材料研究科内地留学
2001年10月 (株)トクヤマデンタル出向 つくば研究所にて補綴関連材料の開発
2013年 4月 (株)トクヤマデンタル 鹿島工場 品質管理グル―プリーダー
2016年11月 (株)トクヤマデンタル 学術営業グループ 配属
2017年10月 (株)トクヤマデンタル 学術営業グループリーダー
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