明海大学 保健医療学部 口腔保健学科
金子 潤
昨年のコロナ禍の影響で1年の延期が決定していた第28回日本歯科色彩学会総会・学術大会を、2021年6月26日(土)、27日(日)の2日間にわたり開催させていただくことになりました。
当初は昨年予定していた会場である「山崎製パン企業年金基金会館」(千葉県市川市)で現地集合型の開催を計画しておりましたが、昨年末からの第3波襲来と首都圏の緊急事態宣言2度目の発出を受け、やむなくWeb開催とすることを決断いたしました。
しかし、毎年1回開催される学術大会は会員が一堂に会して活発なディスカッションができる数少ない機会でもあり、できるだけ双方向で進められるようにすべての講演をオンデマンドではなくリアルタイムで配信することといたしました。
ご参加いただく皆様にとって実りある学術大会になるよう鋭意準備を進めております。
歯の審美性は「形態美」「機能美」「色彩美」が揃ってこそ達成されるもので、審美歯科治療においてはどの美的要素も欠かすことができません。
なかでも「色彩」に関しては、歯学教育のなかで詳しく学ぶ機会も少なく、卒業後の臨床経験などに頼らざるを得ない場合が多いのではないでしょうか。
どんなに「機能」的で自然な「形態」を有する修復物や補綴装置でも、やはり最終的な「色彩」がマッチしていなければ、確実に不満の残る結果となります。
また、歯の「色彩美」を創造し維持させるためには、歯科技工士・歯科衛生士などコ・デンタルスタッフの力は無くてはならないものです。
歯科医師の的確な色彩判定と正確な情報伝達はもちろんですが、歯科技工士の巧みな色調再現と歯科衛生士の適切なメインテナンスにより、治療の質と予後が大きく左右されることは言うまでもありません。
そこで、今回の学術大会のテーマは「チーム歯科医療が支える口元の色彩美」といたしました。
歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士の歯科医療従事者はもちろんのこと、研究・教育関係者や学生の皆さんなど幅広い参加者が一堂に集い、活発な議論が行われることを期待しております。
本大会のスケジュールは、1日目(6月26日:土曜日)の午後から常任理事会、理事・評議員会を開催し、2日目(6月27日:日曜日)の午前中に総会、会員発表および特別講演、午後からは講習会1~3を開催する予定となっております。
今回の特別講演は、「審美補綴装置の色調再現性を高めるために」と題して明海大学歯学部機能保存回復学講座歯科補綴学分野の三浦賞子先生にお願いいたしました。
近年では保険適用のCAD/CAM冠から高透光性モノリシックジルコニアに至るまで、色調選択と情報伝達が重要な鍵を握る場面が以前よりも多くなっています。
先生には明日からの臨床に役立つ内容を整理してご提示いただく予定です。
講習会1では、「歯科色彩を応用する考察あるいは提案」と題してカラーランド・Labの元呑昭夫先生にご講演いただきます。
先生は当学会の創設当初より中心的メンバーとして長年にわたりご活躍され、2019年度から名誉会員となられました。
歯科領域における色彩について、色彩学の専門的立場からの貴重なご意見を拝聴できるものと思います。
講習会2では、「“オムニクロマ”直接充填の新潮流」について株式会社トクヤマデンタルの関野雅人先生にご講演いただきます。
構造色によって歯質の色彩を再現する初のコンポジットレジン“オムニクロマ”についてのお話しは、参加者をシェード選択の迷いから解放することでしょう。
講習会3では、「最新2D、3D撮影装置を用いた皮膚表面、顔貌評価のご紹介」をテーマに株式会社インテグラルの永岡庸平先生よりご講演いただきます。
最先端の皮膚計測機器について、デモンストレーションを含めてお話しいただく予定です。
今年の学術大会はWeb開催ではありますが、講師の先生方には大会運営本部である「山崎製パン企業年金基金会館」の5階会議室にお越しいただき、ライブでのご講演をお願いしております。
世界中がコロナ禍に見舞われて、東京オリンピック・パラリンピックさえ開催が危ぶまれる昨今ですが、一時の有意義なオンラインでの学術交流が図れるよう願っております。
多くの皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。
大会事務局
〒279-8550 千葉県浦安市明海1丁目
TEL 047-374-3881